堤防の仕上げ
干拓地の生命線である締切堤防は、河北潟のやわらかな地盤の上に築かれている。土は、コンクリートと違い、押さえつけると凹む性質をもっているが、やわらかい土ほど大きく凹む。これを圧密沈下といって、軟らかな地盤ではさけることのできない現象である。
やわらかなの厚さと、その上に築かれる堤防などの重さで圧密沈下の量は変わるが、いずれにしても、長い年月にわたって沈下しつづける。河北潟の干拓でも、もちろんこの現象を充分承知のうえで工事を行っている。そして、毎年がどれくらい沈下するかの測量もしている。
下の図は、正面堤防でもっとも沈下が大きい地点の沈下量である。図で、49、50年頃に沈下が大きくなっているのは、かさ上げといって、1回目の補強工事をしたためである。
大まかな傾向としては、13年間で約1.9メートル、平均すれば1年に大体15センチの沈下となるが、この沈下量は年を経るごとに小さくなり、昭和60年時点では約7センチメートルである。
一方、河北潟は、法律上(河川法)大野川の一部とみなされ、干拓工事の完成後は、河川の堤防として管理される。で、干拓の完成直前に2回目の補強工事を行ったのが右の図面で、将来の沈下も予想して標高4.1メートルの高さに仕上げられた。ちなみに、計画の高さは3.0メートルであるから、1.1メートルの余裕を見こむことになる。(なお、東部、西部の承水路堤防も仕上げ工事を行ったが、これらの堤防ではほとんど沈下が完了している。)
下の写真は、最初の堤防で、アスファルトを張っているところ、右は、最後の仕上げがなされた正面堤防の姿である。
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