放水路、締切堤防が完成すると、いよいよ中の水をくみ出す仕事が始まる。
この役目を果たすのがこのポンプである。 もちろん、このポンプは、それだけの目的ではなく、干拓された土地の排水を将来にわたって受けもたなければならない。ポンプの大きさは、むしろ後者を基準に決められ、直径800ミリと、1,500ミリのポンプそれぞれ2台ずつあって、全部同時に動かせば、1秒間に、約12立方メートルの能力がある。 今、干拓地の面積を13平方キロメートル、潟の平均水深を2メートルとすれば、締切堤防で囲まれた区域の水は、全部で26,000,000立方メートルになる。 これを1秒間に12立方メートルの能力でくみあげると、約25日で空になる。 実際には、貯まっている水だけではなく、この間に降った雨も加わる。また、締切堤防内の水位を急激に下げると、堤防欠壊の危険があり、1日に下げられる水位は数センチメートルの範囲である。したがって、水位をにらみながら、何台のポンプを運転するかを決め、半年位の期間をかけて干し上げることとなる。
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締切堤防で囲まれた区域(干拓地)の潟底は、必ずしも平坦ではなく、中の水をくみあげても、最後には水たまりが残る。そして、例え潟底が顔を出しても、ヘドロの状態で、機械はおろか人間も入れない。 下の写真は、潟底に、ポンプ場までスムースに水を導びくための、幹線排水路を掘っているところである。この場合、ポンプ船は、掘るだけが目的であって、決められた場所まで土を運ぶ必要がないので、このように吹き飛ばしている。 締切堤防には、このポンプ船の出入口があって、作業が終わり、船が出るとこれをふさぐ。そして中の水のくみ上げる干陸が始まる。
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