堤防と放水路の工事

 河北潟干拓のカナメは、砂丘地を切り開く放水路と、干拓地の締切堤防である。
 干拓地締切堤防は、潟底地盤状態でその形も変わる。潟全体を大まかに みると南にるほど地盤が悪く(弱く)なるため、堤防の形は34ページ図のように 区別され、西部承水路堤防いて、約 4,600,000方メートルの土が必要である。
 河北潟のような弱い地盤一般に「軟弱地盤」とんでいるが、くずれない堤防くために、このような形となるもので、軟弱地盤しからしむところである。また、も北に位置する東部承水路2号堤防は、規模も小さく、それな りに地盤いことを物語る。
 に、内灘砂丘を切り開いて作る放水路は長さ 1,670メートル、底はば 110メー トル、砂丘のも高い所での上はばは 410メートルにもなって、取り除く砂のは、 全体で何と 7,000,000立方メートルにする。そして、この放水路と日本海のつなぎ目に防潮水門ができる。
 放水路工事で取りいた砂を、締切堤防利用するのが、河北潟干拓の特徴で、り取って、運んで、さらにり上げる……砂の量がこれだけの大量になると、工事も大がかりになってくる。
 右の図は、昭和42年の航空写真から作られたもので、姿をととのえつつある、 放水路締切堤防の関係がよくわかる。
 もう一つの特徴は、すべて、水にき、そして水の上を走る機械が使われたことで、水面下の土を掘るポンプ船、掘った土を運ぶ運搬船、そしてった土を運搬船みこむ機械などがそれである。

 



 正面堤防東部承水路1号堤防は、潟底の土
が「ヘドロ」状態でやわらかなため、それぞれ
2.4メートル、1.9メートルのさまで取り除き砂と
入れかえた、これを置換えという。

        


 広さが 23平方キロもある河北潟に、舟をこぎ出すと、自分がどのあたりにいるのか、見当もつかなくなる。
 工事の第一歩測量から始まる、陸の上なら、目じるしに打つくいも短いものでよいが、広い水面上ではそんなわけにゆかない。そして、延長や方向に間違いがあってはならないのである。

 

 

 

 




 水面下のどろや砂をさらって取り除くことを浚渫という。ポンプ船の正式な名前はポンプ浚渫船別名サンドポンプ船ともいう。水中にき出したカッターを、土の中にしこんでグルグル回す、と同時にそのどろ水を強力なポンプでいこむ。吸いこんだどろ水はパイプではき出されるが、このパイプを何本もつなげると、かなり遠くまで送れる。
 このポンプ船は、日本海から大野川を通って潟に入るが、途中に橋などがあって、あまりに大型のものは入れない。右上の写真は、河北潟で活躍した600馬力のポンプ船で、1年間、1,800,000立方メートルの能力をもっている。


 左下の写真は、土運搬船で、1回に 200立方メートルの土がめ、目的地に着くと、舟底が開くしかけになっている。後のページにも出てくるが、左下の写真にみこみ船がみえる。この船は、サンドローダーといって、ポンプ船からはき出される土砂を、能率よく土運搬船みこむ機械である。
 干拓地の締切堤防(正面、東部承水路)に必要な土量は下の表のとおりで、この他に、石川県営事業として行われた、湖岸堤防があり、これに必要な土も、 この土運搬船が運んだ。

 

 

 


ジェットポンプがくずした砂丘の砂をポンプ船でってい上げる。

 

 


ポンプ船が掘った砂をサンドローダーで土運搬船みこむ。

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