河北潟干拓基本的な考え方

 東京天文台編集の「理科年表」に左の表がある。これによれば、干拓前の河北潟は、日本で20番目の大きさで、その面積は23平方キロメートル、最大水深は2メートルとなっている。
 この河北潟に、金腐川津幡川などが流れこみ、流域面積は369平方キロメートルあって、富山との県境にある医王山標高969メートル)が一番高い。つまり、河北潟の流域は、標高1メートル前後から969メートルの範囲にある。
 潟からは、大野川を通って海に出るが、大野川の匂配がゆるやかなため、水の流れは早くない。したがって、潟の流域から流れ出た大水は、潟で足ぶみをする格好となって水面が上がる。この現象洪水調節作用といい、潟の面積が大きいほど、調節能力も大きく、水面のがり工合は小さくなる。
 干拓をすれば、当然、潟の面積はせばめられ、洪水調節能力が低くなって、水面の上昇く。潟ぶちから、その背後に広がる水田地帯は、もともと、標高く、潟の水面が少しでも高くなれば水にひたされる。このために、干拓で、調節能力った分を、何らかの方法でわなければならない。
 このことを具体的に言えば、潟から日本海に通ずる大野川を改修して、もっと大量の水が流れるようにするか、もう1本の新しい川(放水路)をるかであるが、河北潟干拓で採用したのは、大野川をそのままにして新しい放水路設ける方法である。

 


 新しい放水路によって干拓は可能になるが、水はけの悪い潟ぶち周辺の水田も わなければならない。むしろ、この方が、新しい農地をり出す干拓よりもがれた。長い年月をかけて造り出された潟ぶち水田の排水も、干拓地と同様にポンプにらなければならない。ところで、潟ぶち付近の水田は、雨がると潟の水面下にする状態であるため、まず潟ぶちの堤防必要だった。
 干拓の締切堤防に対して、潟ぶちの堤防湖岸堤と言うが、右図のとおり、湖岸堤ができれば、排水不良地域った雨(水)だけをポンプではき出せばよ い。そして、潟の水面が低くなれば自然に排水できてポンプを動かす必要がな い。(干拓地はポンプでなければ1排水できない。)

 

 

 

 

 右の図は、河北潟の干拓にあたっての基本的な考え方を表すもので、潟水面の高さによって水はけの悪くなる区域(ポンプ排水区域)、潟水面のいかんにかかわらず流れこむ自然排水区域、そして潟水面より低い干拓地と、これらから河北潟調整池に はき出された水、日本海に流すためたにる放水路を示す。
 このように、河北潟干拓の目的は、に、干拓だけをうものではなく、図にす、ポンプ排水区域改良まれている、このことを見逃してはならない。
 なお、河北潟の水は、潟ぶち周辺のかんがい用水として利用されているが、干拓地の用水もこの水を利用する、すなわち、干拓から はずれた河北潟の残存水城には貯水池としての役目もあるので、これを調整池とよんでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

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