河北潟干拓の基本的な考え方
東京天文台編集の「理科年表」に左の表がある。これによれば、干拓前の河北潟は、日本で20番目の大きさで、その面積は23平方キロメートル、最大水深は2メートルとなっている。
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新しい放水路によって干拓は可能になるが、水はけの悪い潟ぶち周辺の水田も
救わなければならない。むしろ、この方が、新しい農地を造り出す干拓よりも急がれた。長い年月をかけて造り出された潟ぶち水田の排水も、干拓地と同様にポンプに頼らなければならない。ところで、潟ぶち付近の水田は、雨が降ると潟の水面下に没する状態であるため、まず潟ぶちの堤防が必要だった。 干拓の締切堤防に対して、潟ぶちの堤防を湖岸堤と言うが、右図のとおり、湖岸堤ができれば、排水不良地域に降った雨(水)だけをポンプではき出せばよ い。そして、潟の水面が低くなれば自然に排水できてポンプを動かす必要がな い。(干拓地はポンプでなければ1摘も排水できない。)
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右の図は、河北潟の干拓にあたっての基本的な考え方を表すもので、潟水面の高さによって水はけの悪くなる区域(ポンプ排水区域)、潟水面のいかんにかかわらず流れこむ自然排水区域、そして常に潟水面より低い干拓地と、これらから河北潟調整池に
はき出された水、日本海に流すため新たに掘る放水路を示す。 このように、河北潟干拓の目的は、単に、干拓だけを行うものではなく、図に示す、ポンプ排水区域の改良も含まれている、このことを見逃してはならない。 なお、河北潟の水は、潟ぶち周辺のかんがい用水として利用されているが、干拓地の用水もこの水を利用する、すなわち、干拓から はずれた河北潟の残存水城には貯水池としての役目もあるので、これを調整池とよんでいる。
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